理学療法士→青年海外協力隊→日本で臨床をしながら緊急援助について学ぶ(現在)→大学院?→国際協力をライフワークに
2011年3月11日より発生しました東日本大震災において、犠牲になられた方々に心よりご冥福をお祈り申し上げます。 また被災された方々に対しましては、お見舞い申し上げるとともに、一日でも早くの復興を応援・支援させていただきます。
2016年4月16日より発生しております熊本地震において、亡くなられた方に心からご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆さまにお見舞い申し上げます。

<祝>当ブログの読者Y.Kさんが青年海外協力隊(24-1 モンゴル)に合格した、という非常に嬉しい知らせを受けました。おめでとうございます。
<祝>当ブログの読者で青年海外協力隊を目指すMIDORIさんが理学療法士国家試験に合格した、というおめでたい知らせを受けました。もう同じ臨床家です。お互い頑張りましょう。
<祝>当ブログの読者KENJIさんが青年海外協力隊(25-2 タイ)に合格した、というまたまた嬉しい知らせを受けました。おめでとうございます。
<祝>募集説明会で体験談をお話させて頂いた方2名も青年海外協力隊(モザンビーク、ベトナム)に合格したと再会時に報告がありました。おめでとうございます。
<祝>2013年JOCVリハネットセミナーで私の活動報告を聞いてくださったA.Kさんも青年海外協力隊に合格されました。おめでとうございます。
<祝>国際緊急援助隊に当ブログを見て興味を持って頂いたOTさん、青年海外協力隊説明会でお会いしていたOTさん、フェイスブックで私を見つけて質問して頂いたPTさんが仲間入りしました。みなさん青年海外協力隊経験者でした。

青年海外協力隊  体験談&説明会
  *当ブログの作者(ドミニカ共和国、理学療法士)は今回の春募集では体験談を話に行くことができませんが、興味をお持ちの方はぜひお越しください。私に質問がある場合は、関連する記事のコメント欄に質問いただければ、回答いたします。

国際緊急援助隊(JDR)医療チームへの参加に関心のある方へ
  *JDR医療チームはWHO EMT InitiativeのType2認証を受けており、リハビリテーションの提供が求められるチームとなっています。理学療法士・作業療法士で関心のある方、仲間が増えるとうれしく思います。

2017年11月16日木曜日

【WCPT News】2017/11/7 プログラム検討委員長にCharlotte Häger教授が就任

 WCPT執行部はスウェーデン人理学療法士Charlotte Hägerを2019年ジュネーブ大会のプログラム検討委員長に指命しました。

 Umeå大学・地域医療/リハビリテーション学部のCharlotteは神経筋骨格系の専門で、国内外の会議・学会等で委員を務めた経験があります。

 「委員長に選ばれて光栄に思います。早く世界中の仲間と仕事ができるのを楽しみにしています。」と彼女は述べています。

 Charlotteは1991年のWCPT大会から、毎回欠かさずに参加し、2015年のシンガポール大会と2017年のケープタウン大会では、国際学術委員のメンバーとして働きました。
「Charlotteはスウェーデン理学療法士協会の人望のある方です」とWCPTのCEO、Jonathon Krugerは述べています。

 「WCPTはこんな優秀な方にこの役割を引き受けて頂き、非常に幸運です。学会のプログラムが興味深く、多様性に富み、教育的なものになるよう、我々WCPT職員はCharlotteと共に努力を惜しみません。」

 Charlotteは1980年代から科学的基礎の構築に向けて研究を行っており、1995年に神経生理学で博士号(PhD)を取得しました。彼女は、感覚運動制御の仕組みと運動コントロールについて研究をしており、この業績がSilviaスウェーデン王妃の目に留まったこともあります。

 彼女はWCPTヨーロッパ地区の教育関連ワーキンググループを7期務めました。その間に開催された4回のヨーロッパ地区の学術大会でも準備の段階から貢献してきました。

 「WCPT学術大会は刺激的なイベントです。今後の真の方向性を示してくれます。会場では各国の共通の課題について話し合ったり、文化の違いを認識したり、専門職のあり方についての類似点を発見したりする素晴らしいチャンスです。」

 WCPT学術大会は2019年5月10日から13日までの間、スイスのジュネーブで行われ、同時に総会も行われます。

 会場となる場所は、国際NGOと世界中の理学療法コミュニティーとが集まる絶好の場です。プログラム検討委員会の他のメンバーも近日発表されます。

2017年10月10日火曜日

【WCPT News】2017/10/2 偉大なる二人のデンマーク人から学ぶリーダーシップ

「Inger Brøndstedと申します。デンマーク出身です。」私がIngerと初めて交わした会話はこのように始まりました。その場所はWCPTヨーロッパ地域の総会で、彼女は代表者として意見をする立場でした。WCPT会合でのこのような出会いは今日に繋がっています。

アイルランド理学療法士憲章協会の代表を私が勤め始めた時、何をするにもナーバスになっていました。話すときは早口になってしまっていて、Ingerがこっそり優しくその事を指摘してくれました。

彼女は英語を母国語としない人のためにもっと配慮することを教えてくれました。それからは、WCPT会合で話をする時は、聴衆の中にいるIngerを見ながら、早口になっていたら合図をしてもらっていました。

Ingerはデンマーク理学療法士会の会長で、WCPTでは1999年から2003年執行部で働き、2003年から2007年は副会長を勤めました。

Ingerは先週、亡くなられました。彼女の死を受けて、私はもう一人の偉大なデンマーク人理学療法士、Johnny Kuhr (1957-2014)を思い出します。彼もデンマーク理学療法士会の会長を勤め、2011年から2014年までWCPTの委員をやっていました。Johnnyも私を優しく指導してくれました。

私の知る範囲では、Johnnyは驚くほど優秀で冷静沈着でした。記憶に鮮明に残っていることは、ブルガリアでの講演のことです。そこでの通訳が期待通りのものではなかったのです。スライドが多すぎたことは分かっていましたが、私は開催者に説明を求めようとしていました。Johnnyは私を呼び寄せ、そんなことしても何も変わらないから、とにかくこのまま続けて最善を尽くすことだ、と諭してくれました。

リーダーシップにはいろいろな形があります。この二人の偉大なリーダーのことを思い出していると、二人には直接この話をしたことがないと気づきました。二人からどれだけのことを学んだか、二人は知らないでしょう。私の成長の軌跡を人に話すことは多くなってきましたが、IngerとJohnnyに話すチャンスを逃してしまいました。

Drew DudleyはTEDトークで「毎日のリーダーシップ」という面白く興味深い話をしています。彼が言うには、リーダーシップは頑張っても手の届かない遠い存在のものだというイメージを自分達で作り上げてしまっているとのことです。

私たちは皆、おそらく知らないうちに他人の成長を促しているだろうと彼は考えています。しかし、私のように、成長のきっかけを与えた人と話をすることがないがために、自分自身の能力に気がつかないこともあります。

リーダーシップというのは様々な方法で行われます。リーダーシップとは大きな役割や出来事であると同時に、お互いを成長させる日々の行いでもあります。IngerとJohnnyはデンマークの優秀な理学療法士であると同時に、理学療法業界の世界的なリーダーでもあります。多くの人に影響を与えたきたことに疑いの余地はありません。

IngerとJohnnyはJim Collinsが示した「5段階のリーダーレベル」について、特徴を提示しました。貪欲で、何かおかしな時は自分自身の行いを見直すことができる、そして、上手く行っているときは、周りの人たちの働きを認めることができる、ということが挙げられます。

そのようなリーダーになろうと努力することで、私たちの人生や私たちが関わる人の人生をより良いものにしていけるでしょう。

2017年10月4日水曜日

【WCPT News】2017/9/25 学会参加は大きな転機 奨励金獲得者の声

ケープタウン大会に参加するための奨励金を得た理学療法士は、専門職としてのこれからや、患者治療において大きな変化があったことを喜んでいます。

今年のWCPT学術大会には2000人を越える参加者が集まりました。その中の18人にとっては特に、今後のキャリアに大きく影響するような経験をしたようです。

WCPTや南アフリカ理学療法協会(SASP)は共同で資金を集め、低所得国からの13人の参加希望者に出席チケットのプレゼントをしました。さらに、開催国の二人の理学療法士とSASPの三人のメンバーにも奨励金を用意し参加できるようにしました。

「奨励金のおかげで人間的にも専門職としても成長できたと聞き、非常に喜んでいます。」とProfessional Policy部門のTracy Bury部長が述べています。

「奨励金を得た個人の成長だけでなく、専門性の拡大や患者にもよい影響を与えます。学会参加というプレゼントの恩恵は他にも影響を与えています。」

エチオピア理学療法士協会のHailu Seifu Tsegaye会長は、学会参加した同僚が連邦保健省で報告した理学療法サービスと教育について注目しています。

「非常に優秀な理学療法士に出会うことができました。遠隔教育者としての役割を担うことで自身のキャリアを磨くヒントをもらいました。

他の国の基本方針や登録制度、またいかに質の維持をしているのか等についても学ぶことができました。学会で得た情報を用いて様々な貢献とサービスの質の向上ができるでしょう」と述べています。

筋骨格系の理学療法士としてネパールで唯一の養成校で教鞭を取っているNishchal Ratna Shakyaさんは自然災害時の人道的支援に関する討論セッションでパネリストとして参加しました。

「世界中の様々な優秀な人に囲まれて討論セッションで活発に参加することを、私は非常に誇りに思いました。倫理、権利、リーダーシップのセッションも私に大きな影響を与えました。低所得国でも高所得国でも同じように困難やチャンスがあるのだと知りました。このことは私の働きかたに直接的に変化をもたらすでしょう。

参加者の一人がネパールの教育と仕事に感銘を受け、コンタクトを取ってこられました。彼はフルブライト奨学金に応募し、ここで教育制度について取り組んだり研究を進めていきたいと考えているそうです。」

Corlia Brandt博士はスポーツや神経筋骨格系、およびウイメンズヘルスを専門とする南アフリカの理学療法士です。彼女は学会を次のように振り返ります。「一生に一度あるかないかの感動的で高度な内容を体験しました。世界の秀でた理学療法士たちを前に私は理学療法業界の礎を見たような気がしました。今よりも自分を高めてくれます。

臨床の面から言うと、専門が同じ臨床家とともに技術面でのプレゼンテーションができたことは、私にとって非常に幸運なことでした。学会に参加して研究や教育、臨床の様々な視点を得ることができました。そして、最も良かったことは個別に優秀な理学療法士と交流できたことです。」

ケープタウンで心身障害児に関わっているAnja Ottoは「WCPT学会は間違いなく今までの経験の中で最も刺激的なものでした。ここで得た知見やコネクションは生涯にわたり大切にします。」と述べています。

学生二人が幸運にも参加奨励金を得て、将来の進路を決める材料となる経験をしました。Stellenbosch大学三年生のLizaan Scheepersは夢が叶ったと言っています。

「奨励金を頂けるとメールで知り、夢が叶ったと思いました。この経験を一生大切にするでしょう。他では得られない大きな発見や新たな視点を世界中の理学療法士から学びました。

学会で学んだことを臨床に役立つように詳しくノートにまとめ、同級生と共有できるようにしました。理学療法士として私が成長していくにつれ、学会の内容がよりクリアになってくるでしょう。理学療法士の仲間入りをするのはとても楽しみです。自分がこの分野でいかに貢献していけるか挑戦していきたいです。」

ナイジェリアのBayero大学で教員をしているBashir Belloは、学会をこれまでの経験の中で最も素晴らしいものだったと言っています。

「学会では多くの全く新しい知識や技術を得ました。学会に参加しなければ決して得ることができなかったものです。私の人生は大きく変化しました。個人的にも専門家としてもこの学会は私に変化をもたらしました。」

2017年9月14日木曜日

【WCPT News】2017/9/13 Lorena Enebral Pérezを偲ぶ

切断患者のリハビリテーションを専門に活躍していたLorena Enebral Pérezがアフガニスタンで患者に射殺されました。理学療法業界は彼女の死を受け、喪に服しています。

Enebral Pérezさん(38歳)は、赤十字リハビリテーションセンターで21歳のポリオ患者を担当していました。その患者が撃った1発の銃弾が彼女の胸に当たりました。すぐにNATO軍の基地キャンプマーモルにある病院に運ばれましたが助けることができませんでした。

銃を撃った犯人は2歳の時から同センターで治療を受けていました。また、もう一人別の男性も逮捕されましたが、彼も患者の一人でした。

動機は明らかになっておらず、抗争グループなどからの犯行声明もありません。紛争地域で活動する理学療法士や人道支援関係者に注意喚起をしています。

「我々、世界中の理学療法士は、Lorena Enebral Pérezのご家族に心からお悔やみを申し上げます。」とWCPTのCEO、Jonathon Krugerは述べました。

「我々の思いは国際赤十字委員会の仲間と同じです。彼らは友人であり同僚である彼女の突然の死の後も、アフガニスタンで仕事を続けています。」

国際赤十字委員会はEnebral Pérezは「活気溢れる笑顔が素敵な人で、技術は高く心遣いもできる理学療法士でした。特に子供の患者に支援をしていました」と声明で追悼しました。

Enebral Pérezはスペイン国籍で、2016年5月からアフガニスタンで活動していました。それより前はマラウイ、エチオピア、タンザニアでも障害者のために活動していました。

「なぜ理学療法士が仕事をしていて銃弾に倒れなければいけないのか理解できない。しかし、世界中でこのような暴力を医療従事者が受けるリスクがあるのが現実なのです。」とJonathon Krugerは言っています。

アフガニスタンでは医療従事者が危害を受けるリスクが最近高まっています。2月には赤十字のスタッフが6名、イスラム国関係の組織に殺害されました。

赤十字は30年以上に渡り7つの整形外科センターをアフガニスタンで運営し、人々の命を救ってきました。赤十字は紛争地域において、自分たちは人道的支援をしている中立的な団体であることを強調して一般に知らせています。

Enebral Pérezの死を受けて発表した声明でも、戦争の被害者をただ救いたいだけだと述べ、最後にこう締めくくりました。「私たちは標的ではない」

【WCPT News】2017/9/11 会長ブログ 仕事のやりがいについて

「スウェーデンで我々は目標を立てました。意見を言える、人々から必要とされる、関係団体からも認められる職能団体を作りたいと思います。」(Stefan Jutterdal)

このメッセージはスウェーデン理学療法協会の現会長Stefan Jutterdalが2015年のWCPTシンガポール大会で述べたものです。Stefanは専門職としてピッピの長靴下のようにもっとならなければならないと提案しました。つまり、責任感を持ち、勇敢になり、想像力を高める必要があるということです。

シンガポールで私はStefanと初めて会いました。非常に優秀な理学療法士であると同時に優秀なリーダーでした。理学療法士が持つ影響力はどのように測ればいいでしょうか。1つの指標としてスウェーデンでは、保健分野における影響力のある人100人のリストが出ています。Stefanは今年、その中の16位に選ばれました。

WCPTメンバー組織のうちいくつが、保健分野で影響力を持ったリーダーがいると答えることができるでしょうか?Stefanにお祝いを述べたとき、今の地位は協会のスタッフや委員の作り上げたチームが素晴らしい働きをしてくれたおかげだと、すぐに彼は言いました。

彼は健康改善研究所という独立した非営利組織がマサチューセッツのケンブリッジにある事を教えてくれました。最良の医療の提供や国境を超えた医療の質の改善を目指しています。

この夏私は、仕事のやりがいや幸福度についての彼らの文書を読ませてもらいました。彼は多忙にも関わらずWCPTの取り組みに役立ちそうな知見を共有するための時間を設けてくれました。

Donald M Berwickは冒頭でこう述べています。「仕事にやりがいや幸福を持ってもらうには、単に優しくするだけではいけません。それは単なる方法です。(中略)希望や自信や安全は患者やその家族に提供すべきものですが、これらは職員自身が仕事に希望や自信を持っていないと湧いてきません。やりがいを持って働くことは治療者として前進していくためには必須要素です。」

その文書では仕事に楽しみややりがいを持たせることの重要性についてエビデンスと共に紹介しています。またその実践方法として4つのステップを示し、理学療法を提供するにあたり応用できる内容も含まれています。

この会長ブログでは、2019年のWCPTジュネーヴ大会までの残り20カ月をどのように進むかを示しています。世界中から集まる理学療法士を祝福し、WCPTの発展に繋がるような話をいろいろ聞きたいと思います。

未来に繋がる話をしてくれるのはいつも年長者とは限りません。ヒーローとはたいてい、ゆっくり歩き、寡黙に働き、裏方を務めるような人です。しかし彼らの方針や献身は関わる皆の生活を変えるものです。

リーダーシップに関する教訓は文献などにまとめられています。今回は理学療法業界における国際的な貢献をしたStefanをお祝いしたいと思います。彼はリーダーシップを取るには象徴性が大切だと私に話してくれました。この事は組織再編に関する書籍でも述べられています。

しかし、私はもっと大切なことはやはり仕事のやりがいや仕事に対する幸福度だと、この1週間ずっと考えています。積極性が増せば、得られる経験も多くなります。やりがいは仕事の面と自分自身の生活の面で、重要な指標となるでしょう。

あとがき
Stefanはこの後、体調を崩されましたが、現在は落ち着いており、じきに復帰できるだろうということです。WCPTは1日も早い回復を願っています。

2017年9月10日日曜日

【WCPT News】2017/9/6 世界理学療法の日 テーマは「生活の中の運動」

今年は「生活の中の運動」をテーマに世界各地でイベント等が行われます。世界理学療法の日に関する資料で、健康を維持するためには運動を行うことが大切だが、18歳以上の成人の26%は十分な運動を行っていないというデータが示されています。

WCPT会長のEmma Stokesは「エビデンスは明快。運動を積極的に行うことは間違いなく健康に不可欠です。しかし、多くの人にとってはなかなか難しいのも事実です。

ライフスタイルや働く環境、遊ぶ環境、学ぶ環境によっては運動と疎遠になりがちな場合があります。しかし忙しい生活の中にも運動を取り入れる簡単な方法がいくつもあります。それを紹介することが今年の世界理学療法の日の目的です。」

世界中をハッシュタグ#worldptdayで繋げた2016年世界理学療法の日の成功に続き、今年も成果が挙げられることを願っています。バングラデシュでは過去最大規模のイベントとして国内65か所で大きな集会が開かれました。

マルタでは高齢者を対象にしたセラピスト監修の運動教室やウォーキングイベントを開催しました。歩数計が配られ、運動や健康に関するアドバイスをしました。

アイスランドでは大学病院が運動教室を行い、Reykjalundurリハビリテーションセンターではプールでの特別教室や、ダンスを用いた特別教室も開きました。

世界理学療法の日は、今年の会長メッセージでも述べられていたように世界保健機関(WHO)のアクションプランと連動しています。

WHOは運動を2つのレベルに分けています。やや速めの歩行やサイクリングなどは通常負荷レベル、走ったり速く泳いだりする運動は強負荷レベルとしています。

「全ての世代の人に運動を促しやる気を出させる力が、世界中に100万人以上いる理学療法士にはあります。」とEmma Stokesは言います。

「たった10人にでも運動の大切さを理解してもらうことができれば、世界的に見れば活動レベルを上げる大きな力となります。今すぐ活動を開始しましょう。」

しかし、世界的には運動不足の割合が思ったほど減少していません。日々の生活の中の運動が、心肺機能の向上や筋力の増強、心血管系の疾患予防や2型糖尿病の予防になる他、精神面にもよい効果を示すことが分かっています。

2017年8月11日金曜日

【WCPT News】2017/7/28 WCPTがハゲタカ出版社に関して注意換気

 論文掲載を約束したり講演依頼をする勧誘メールが理学療法士に送りつけられ、後から高額な料金を請求する悪徳な出版社があるとして、WCPTは注意換気を行っています。

 研究成果を学術誌に掲載したり、学会で発表したりすることは、学術的に非常に重要なことですが、金儲けのためだけのジャーナルやイベントなどが増えてきており、医療従事者が獲物にされています。 

 いわゆる「ハゲタカ出版社」によるジャーナルやイベントの存在は広く認識されつつあります。好条件で近づく怪しい勧誘があれば、きちんと調査したり、きっぱり断りましょう。

 「WCPTやそのメンバー組織のような適切に運営されている団体が、どこの誰かも分からない者に類似組織を作られていることに気づくことがあります。これは悲しいですが現実です。」とWCPTのCEOであるJonathon Krugerは述べています。

 「研究や教育に携わる方は、自分の名前が無断で編集委員やイベント準備委員、発表者などに使われていないか、目を光らせておかなければなりません。」

 ハゲタカジャーナルはスパムメールを使って寄稿の依頼を、理学療法士を含む研究者や教育者に送ってきます。即掲載や、特典付き、などと勧誘してきます。しかし、信頼のある出版社なら行われる査読や編集、アーカイブ化などは行われません。

 ハゲタカ出版社が絡む国際イベントは、北米や西ヨーロッパ、日本、中国などの魅力的な都市で、信頼のある別のイベントと時期を合わせて開催することが多いです。 プログラムは細かく組まれており宣伝もされているのですが、演者の経歴や写真が許可なく使われていることが確認されています。

 このようなイベントのウェブサイトや広告には問い合わせ先が書かれていないことが多く、開催日以降はすぐに閉鎖されます。 カナダやオーストラリアの権威ある出版社をOMICSグループが買収した時には批判が集まりました。

 南アフリカ共和国の栄養士Elizabeth Fourieは「第11回肥満・内分泌学会」という2日間のオーストラリアでのイベントに騙されて参加しました。当日、プログラムに書かれた演者は欠席だと告げられ、発表内容は精査されておらず、多くの論文はテーマとの関連が薄いものでした。

  ハゲタカ出版社によるジャーナル、イベント、メール送信は近年、増加しており、毎日のように教育関係者からスパムメールの報告があります。ハゲタカ学会は「利益目的に科学論文を利用したサイドビジネス」として悲しくも横行しています。それにより研究者は信頼のある認められた学会等で発表する機会を奪われます。

 若い研究者や教育者で、英語を第一言語としない方は特に狙われやすいです。もう気づいているでしょうが、質の低い出版物やイベントに関わると自身の信頼の低下に繋がり、誰も関心を持ってくれなくなるでしょう。

2017年7月28日金曜日

【WCPT News】 2017/7/3 専門分化は全人的医療の妨げになるか

 学会参加者の活発な議論でPTの専門性についての未来像を描くことができました。専門性を高めることにより独自処方を行えるよう前に進んで行くことも視野に入れられました。

 専門職としての役割について議論するセッションでは、専門分化が進むと身動きが取り辛くなるのではないかと恐れる意見がありました。理学療法士は内向きで社会のニーズに縛られた専門分化ではなく、やってみたいことに挑戦していくべきではないでしょうか?

 イギリスの脊髄疾患専門のLaura Finucaneは専門分化が行き過ぎているとの見解を示しています。「私たちは'そんな事できません。私は専門家ですよ'と言った風潮を作ってはいけないと考えています。私たちは複雑に絡み合う問題点を広い視点から考え、全人的に患者を診る必要があります」と述べています。

 Laura Finucaneは、今の医学は総合医と専門医がいてどちらも同等の評価を得ていることから、理学療法もそういう流れになるのではないか、という会場の意見に反対の意を唱えました。全人的に患者を診るためには全体の20%が専門家となり、80%はジェネラリストであるべきだとLaura Finucaneは考えています。

 一方でそれは専門家の重要性を低く見すぎだという意見もあります。ドイツで健康的な生活習慣に関する専門家として働いているHans Hobbelenは、自分がジェネラリストであれば可能な限り、患者を専門家に紹介するよう努めるべきだと考えています。ニュージーランドで理学療法の准教授をしているJon Warrenも同意見で、ジェネラリストが専門家に代わって治療することは危険を伴うので、どこで線引きするか皆で決めておく事が大切だと述べています。

 参加者からは専門分化や先進技術に関してきちんとした定義付けやガイダンスが必要だという意見が多く出ました。これはWCPTの役割だったでしょうか?

 WCPTのEmma Stokes会長はこのテーマに関して様々な意見をまとめた報告書の作成に取りかかっていると話しました。ガイドラインや方針もそれに続いて作成されます。現在の理学療法士の権利を越える展望を持つことが重要だということ、そして世界中の理学療法業界にもこの課題を投げかける必要性も会長は強調していました。

 「よりお互いを高め合うようなガイドラインができれば素晴らしいと思います。」と会長は述べました。

 別のセッションでは、自身の専門分野における処方権の拡大について議論されました。2012年にイギリスで独自に処方できる権利を理学療法士が得たという例が紹介されました。理学療法士が処方権を持つ国はイギリス以外にはまだありません。

 理学療法英国公認協会のNatalie Bestwetherickによると、新たな権利を持つには医師、薬剤師、世論の支持が必須です。また政府とも足並みを揃えて指針を作ることが重要です。

 整形外科領域の人材不足などの問題を解決するためにイギリスではこれまで様々な職域の変更が行われてきました。理学療法士の例の前には看護師が処方権を得ています。

 「国によって事情は異なるので上手く行く場合ばかりではないでしょう。」と彼女は述べました。

2017年7月22日土曜日

JDR(国際緊急援助隊)医療チーム 中級研修

 国際緊急援助隊(JDR)に登録されている人は、登録維持要件の1つに中級研修の受講が含まれています。7/22にJICA東京で実施された「2016-17年度 第三回中級研修」に私は初めて参加させて頂きました。

 なお、導入研修についてはこちら。
(参考)http://lily-international-cooperation.blogspot.jp/2016/12/jdr.html

 この中級研修は2年で3回の研修を1クールとしており、来年度から新たなクールに入ります。新たなクールではtype 2としての派遣をより想定した内容になるそうで、今、研修内容を思案中だそうです。type 2と言えば、やはり私が気になるのは「リハビリテーション機能を持ったチーム」という事です。


 今回の中級研修ではリハビリテーションに関する内容はなく、私はロジスティック班としてエアテント設営・撤収、発電機や焼却炉の取り扱い、ロープワークなどを学びました。焼却炉は800℃以上の高温になるもので、今回、初めてJDRが購入し動かしてみたものでした。皆、講師も受講生も興味深々でした。


 私としてはエアテント設営を再び経験できて、忘れている部分を思い出せて良かったです。また、私たちの班がエアテントを立てた後、外科班が中で模擬手術をしている場面を見学できて、現場のイメージをよりしっかり持つことができました。


 多くの内容は、派遣時に役に立つことはもちろんですが、同時に、自分が被災したときにも非常に有用なものでした。しかし、研修の時だけ練習してもすぐに忘れてしまうので、定期的に思い出すために自主訓練しなければなりません。ロープワークなどは、息子がアウトドアに興味を持ち出せば一緒に遊びながら学べるかなと思いました。

 次の中級研修までは一年弱ほど時間があるそうです。今翻訳を進めているWHOが作成したEMTのためのリハビリテーションマニュアルにも対応した研修を企画していただけるよう、私も頑張ろうと考えています。

 例えば、翻訳してきた内容を参考に考えてみると、

・リハビリテーション専有スペースは作れるか
・リハビリテーション職種を何名配置するか
・リハビリテーションのための資機材にはどのようなものを持っていくか
・持っていった物をどう使うか
・退院支援をどのように行うか
・サイコロジカル・ファーストエイドの知識
・現地医療施設との連携の方法。

 また、細かいテクニカルな部分では、

・術後の早期離床をどのような基準で進めるか
・切断肢の断端形成のための弾性包帯の巻き方の練習
・脊髄損傷や末梢神経損傷の患者に行う神経学的評価の練習
・術後患者などに行う呼吸理学療法の手技の練習
・松葉杖や車椅子などのフィッティングや使い方の指導の練習
・入院患者の褥創予防のためのポジショニングの方法。

 WHOのマニュアルでは、引き継ぎ隊でも同じように援助ができるよう技術・知識の統一が必要とされています。JDRが行う外科治療に対応したリハビリテーション手順を医師と協力して作らなければいけないと思います。リハビリテーション職種というのは、他のどの医療技術者よりも個人の技術・知識レベルの差が大きいと感じています。きちんとJDRのリハビリテーションマニュアルを作成しないと危険な気がします。

 type 2に認証されて最初の中級研修のクールが来年度から始まります。いろいろ協力していけたらと思います。

2017年7月12日水曜日

【WCPT News】2017/7/4 WCPT学術大会は友好を深め、誇りを高め、無事閉幕

 盛大なドラムセッションが開会を告げ、賑やかなその土地のダンスが閉会を飾りました。ケープタウンで行われたWCPT2017学術大会では終わりに近づくに従い、みな専門家としての誇りを高めていきました。

 「皆さん素晴らしい! この学術大会を盛り上げてくださいました」とWCPT会長の Emma Stokesは閉会式で述べました。

 「最も重要なことは、生涯の友をここで得たことです。2年後、10年後、さらには20年後もその先も、このように集まることができるでしょう。そうする中で私たちは成長していくと確信しています。

 初めてアフリカで行われたこの学術大会に関して、南アフリカ理学療法協会の Ina Diener会長は、準備に多くの時間を割き無事本番を成功させることができ、大変満足していると述べています。「素晴らしい経験でした。非常に価値のある時間でした」と言っています。

 WCPTのCEO、Jonathon Krugerは「母なる大地で愛の手の中開催された」とこの学術大会について表現しています。3日間渡り、実りある体験を届けることができました。

 また、健康的なライフスタイルを提案し、慢性疾患を予防・改善する活動をしている WesternCape on Wellness(WoW)を支援するための遺産を南アフリカに残しました。

 閉会式では、BrainBreakエクササイズを行う3つの小学校に賞が贈られました。Ina Dina会長はスポーツシューズを貧しくて買えない人に配布し健康的な生活をしてもらう活動をしているShoes2Moveプロジェクトに13000ランドをプレゼントしました。

 これらの活動団体のダンスクラスが閉会式で、1000人以上の理学療法士を巻き込んで「ビッグWoWダンス」をしました。このダンスで運動を促すよう、WoWの代表者が舞台でリードしました。

 口述およびポスター発表で秀でた者にも閉会式で賞が贈られました。口述発表での受賞したのはカナダのMaxi Miciakの「理学療法研究がもたらす変化」と、オーストラリアのWendy Bowerの「タンゴからの新発想、夜間多尿症の原因検索の新手法」でした。

 ポスター発表では、カナダのIsabele Demersの「発達協調障害の子供への身体活動指導における推奨方法の展望的レビュー」と、スウェーデンのElizabeth Westerdahlの「肺がん術後のハイリスク患者に対する吸息筋トレーニング」が授賞しました。

 次回のWCPT学術大会は2019年、スイスのジュネーブで開催されます。

 「私たちはまた次の学術大会で会えると確信しています。なぜなら、そうすれば私たちは成長できるからです。」とEmma Stokesは述べました。


2017年7月6日木曜日

【WCPT News】2017/6/21 WCPT学術大会を最大限に楽しむ10の方法

 参加者はこれから行われる最高の学会に向けて準備を進めていることでしょう。この記事では学会からより多くのものを得て、想像力溢れる、やる気に満ちた状態で臨床に戻れるように、いくつかのヒントを示します。

1、学会アプリを使いましょう

 ケープタウンに到着するまでには学会アプリをダウンロードしておきましょう。このアプリには学会でのスケジュールを決めるために必要なものが全て入っています。参加したいセッションや話をしたい演者の予定を登録しましょう。
 展示にはどのようなものがあるか、フロアでどのような催しがあるか確認し、行動計画を立てましょう。もしスマートフォンが使えなければiPlannerを使ってスケジュールを立てられます。iPlannerから学会アプリにスケジュールを転送することもできます。

2、どこに何があるか把握しましょう

 ケープタウン国際カンファレンスセンターに着いたら、時間を節約するために、会場のどこで何があるか確認しておきましょう。案内表示もありますが事前に調べておくといいでしょう。

3、学会ボランティアに尋ねましょう

 学会スタッフはボランティアで構成されており皆さんのお手伝いをします。遠慮なく声をかけて下さい。通訳ボランティアは対応可能言語が書かれたバッジを付けています。道案内から行動計画を立てるお手伝いまで、何でもします。
 ボランティアが着ているTシャツの背中側にメッセージが書かれていますので、それについても尋ねて下さい。この学会が各国の人々を健康に維持するために、どのようなサポートをしているか分かるでしょう。

4、仲間作りをしましょう

 過去に学会参加経験のある方もたくさんいますが、6割の人は初参加です。経験者は是非、初めての参加者を助けてあげて下さい。非常に密なプログラムの中、どのように動けばいいかを教えてあげたり、あなたの仲間を紹介してあげたりして下さい。もし受付で行列ができていたら、並んでいる間にネットワーク作りをしましょう。

5、展示ホール内をくまなく散策しましょう

 展示ホールでは最新の機器について情報を得たり、企業ワークショップに参加してみましょう。またアート作品やポスター、ポスターウォーク、indabaもあります。新たな試みとなるindabaセッションは絶対に参加するべきでしょう。

6、様々な意見を取り入れましょう

 学会では様々な技術が取り扱われます。自分の経験からは考えつかないようなアイディアに出会い、世界の理学療法水準を高めてくれるでしょう。皆さんの専門分野に関わらず、いろいろな分野のセッションやセミナーに参加しましょう。
 参加したかったセッションが満席の場合にも、他にたくさんのセッションが同時に行われています。予定なく入ったセッションがあなたにとって最良のものになるかもしれません。多くの発表は学会終了後、オンラインで見ることができますので、当日参加できなかったセッションの情報も得られます。

7、ネットワーク作りから多くのものを得ましょう

 もし学会で会ってみたい人がいるなら事前にその計画を立てましょう。なぜ会いたいのか、会ってどのような事を知りたいのかなどを考えておきましょう。しかし、偶然の出会いや、新たな繋がりに秘めた可能性にも心をオープンにしておきましょう。
 あなた自身のこと、なぜ学会に参加したのかなどを話しましょう。そして周りの人がどのようなことに興味があるのか聞き出しましょう。名刺を忘れずに準備して、名刺交換をしたり、携帯電話に登録しましょう。100以上の国から参加者が集まります。何人の人と知り合いになれるか楽しみにしましょう。そして、学会終了後はすぐ、忘れずに連絡を取り合い、繋がりを発展させていきましょう。

8、ソーシャルメディアを活用しましょう

 ソーシャルメディアを活用し、学会参加者や参加できなかった人と繋がりを得ることは非常に良いことです。ツイッターやFACEBOOKの学会ページでのやり取りも活発になっていますので、これらを活用し様々なことを共有しましょう。学会のハッシュタグは#WCPT2017です。ツイッターやLinkedInのプロフィールを最新にしておくことをお勧めします。最近の自分自身の写真を載せておけば、会場であなたを見つけてもらえるでしょう。

9、持参したほうが良いもの

 スマートフォンやタブレットを多用する場合、充電機や予備バッテリーを持っていかないといけないでしょう。

10、積極的に楽しもう!

 歩きやすい靴を用意しましょう。会場内を歩きまわるので、セッションに参加する際に座って休んだ分の運動はできるでしょう。理学療法士は活動的でいることの重要性を知っています。
 ヘルシーリビングゾーンやコンペ、運動セッションなどに参加したり、途中ストレッチの時間を取ったりしながら、WCPT2017学術集会を楽しんでください!

2017年6月24日土曜日

【WCPT News】2017/6/21 南アフリカの大学で共に学んだ仲間が同窓会を企画

 Witswatersrand大学で1969年に共に学んだ理学療法士たちが次のWCPTケープタウン大会で5回目になる同窓会を企画しています。

 Sue Keaysさん、Marilyn Freedmanさん、Jenny Sayerさん、Jenny CrockerさんのグループはWCPTワシントン大会、バルセロナ大会、バンクーバー大会、アムステルダム大会でも同窓会を開きました。毎回、学生時代の恩師であり、WCPTの Mildred Elson賞の歴代受賞者でもあるJoan Walker名誉教授を迎えて行っています。

 今年、このグループはWCPT学術大会の参加費補助プログラムに対して大きな寄付をしました。この補助を受けなければ参加できない人もいます。彼女らは参加費補助プログラムを受けて参加する理学療法士とケープタウンで会うことを楽しみにしています。

 Sue Keaysさんは「この仕事が私たちに与えてくれたものは非常に大きいです。だから私たちは恩返しをしたいのです。1969年会は世界中の理学療法士が、特にアフリカの理学療法士が、このWCPT学術大会で 知識や経験を共有できることを心待ちにしています。」と述べました。

 Keaysさんはオーストラリアのシャインコーストで働く理学療法士で、異なる5つのWCPT学術大会で発表をしてきました。今年もケープタウンで発表予定です。

 「WCPT学術大会では、若手もベテランも得るものが多いでしょう。学びの場でもあり、繋がりを作る場でもあります。国境を越えた様々な問題を認識すること、そして私たちの職業がどのように飛躍していくかを知ることができます。」

 1969年会は国際的なグループで、ニューヨーク・バンクーバー・オーストラリアから再びケープタウンで集まります。南アフリカで共に学んだ1969年のクラス12人の内、二人が今も南アフリカに住み、仕事をしています。Keaysさんにとってこの事は、今年の大会に新たな風を吹かせるだろうと思っています。

 「参加者はみな新たなアイデアや可能性を得ます。大会前後に行われるコースに参加するとより多くのことを学び、持ち帰ることができるでしょう。そして、帰国し自分の治療法に取り入れたり、教育に反映させることができるでしょう。

 これは私たちが目指すゴールです。つまり、日々患者とともに最良を求めることです。WCPT学術大会をきっかけに、問題解決に意欲的になれるでしょう。また研究に興味を持つようになったり、前向き思考の理学療法士になったりするでしょう。一歩前に踏み出すことができます。」

2017年6月16日金曜日

【WCPT News】 2017/6/12 学会発表者にビデオや音声などのメディアを活用するよう推奨

ケープタウン大会で発表を予定している参加者は、携帯電話やビデオ、音声を使って発表内容をより広い範囲に届けることができます。

WCPTは発表者に短いビデオクリップや音声クリップを作り研究内容などを紹介するように勧めています。会期中や後日オンラインでポスターやスライドを多くの人が閲覧する際に使われます。ポスター発表者はビデオ撮影を事前に行ってもいいし、学会会場で撮影することもできます。音声のみの場合は短いポッドキャスト形式や音声クリップとして、発表の要点と臨床応用や課題などを録音して利用します。

ポスターを掲示する展示ホールでは、発表者が他の参加者と意見交換するためにその場に残りますが、不在の時間もあります。その間に流すビデオや音声があれば、より多くの人に発表内容が伝わります。参加者はたくさんあるセッションの中から選んで聞きに行くので、口述演題で発表する人もビデオや音声クリップを作成した方がより多くの聴衆を得るでしょう。

前回のヘルスケア会議では、短いビデオクリップを作成して成功した事例がありました。ビデオは発表者の勤務先のウェブサイトで見れるようになっていたり、YouTubeのようなビデオ投稿サイトに掲載したりしていました。リバープールで行われたヨーロッパ地域のWCPT会議でのAnn Green博士のビデオは良い例です。

ポスター演題および口述演題に関するWCPTのガイダンスには役に立つヒントが書かれています。ビデオクリップは短く簡潔にまとまった物がいいでしょう。録音・撮影のための5つのコツもWCPTは紹介しています。

ビデオや音声はソーシャルメディア上であなたの発表を広めるのに役立ちます。FacebookやTwitterにビデオや音声のリンクを貼ってもよいでしょう。ハッシュタグ#globalPTや#wcpt2017を使えば世界中の理学療法士と繋がるきっかけになるでしょう。

2017年6月15日木曜日

【WCPT News】2017/6/12 世界理学療法の日の広報資料公開

【日本語訳】

 今年の「世界理学療法の日」に使用するポスターやパンフレットなどの資料がWCPTのウェブサイトで公開されています。

 2017年世界理学療法の日に向けてWCPTは広報資料を作成し公開しました。今年のテーマは「Physical activity for life」で、全ての年代の人が活動的に過ごすための支援を理学療法士が行うことを伝える内容です。

 広報資料では、理学療法士がどのように運動指導や運動プログラムを立てて一般の人たちを活動的な生活に導くかについて説明しています。

 WCPTのCEOであるJonathon Kruger氏は「世界理学療法の日は、理学療法士が病院や地域で行っている素晴らしい仕事を多くの人に知ってもらう絶好の機会です。」と述べています。

 「世界理学療法の日を皆で大いに祝い、各地で広報資料を活用し様々なイベントを企画しましょう。そして生涯を通して活動的でいるためにはどうすればいいか、多くの人に知ってもらいましょう。」

 世界理学療法の日は9月8日です。各国のWCPTメンバー組織はイベントや広報活動などの企画をし、世界中の理学療法業界が共にこの日を祝うことができるようにしましょう。

 世界保健機関(WHO)が推奨する中等度の活発な運動は、他の様々な研究によっても健康維持のために有効と認められており、広報資料にはその点での理学療法士の役割について説明しています。

 図表やポスター、パンフレットの他、関連資料のリストやフライヤー、バナー、シール、Tシャツデザインなども用意されています。

2017年5月27日土曜日

【WCPT News】 完全版 2017/5/26 参加者で作り上げるIndabaセッション

新たな出会いと閃きの場、WCPTケープタウン大会ではネットワーク作りや情報共有が盛んに行われるでしょう。

 アフリカの言葉にIndabaという会議や集会を表す言葉があります。小グループでの議論を行い、様々な視点からの考え方を共有します。

 すでに準備できているプログラムもありますが、いくつかのプログラムでは、これから参加者自らが作り出していくものもあり、それにより今大会のプログラムは完成となります。

 WCPTの職能政策部長Tracy Buryは「Indabaでは参加者はリラックスした雰囲気で形式ばらずお互いの意見を交わすことができます。」と述べています。

 「私たちはアフリカ流のテーマ別集会所のようなものを展示ホールに設けようと考えています。情報共有や人脈作りの新たな方法です。世界の理学療法士たちがこの機会を活用し、今取り組んでいる課題を共有し、協力し、解決策が見つかることでしょう。」

 参加者は発表したいアイデアを提出しセッションを設けることができます。締め切りは6月2日金曜日、採用された方には6月9日金曜日までに連絡が来ます。

 Indabaセッションには3つのタイプがあります。

1、問題解決のためのグローバルな視点

 何か課題に取り組んでいるのなら、グローバルな視点で考えてみましょう。ローカルな課題でも、世界中からの参加者の経験を集めて問題解決に取り組むのです。

 訪問サービスをより効率的・効果的に行うにはどうすればいいか悩んでいませんか? 同僚に魅力をうまく伝えることができていない技術などはありませんか? 学生に対する臨床教育にあなたは悩んでいるかもしれません。そうであれば研究能力を高める必要があるかもしれません。これらはほんの一部のアイデアに過ぎません。

2、ひらめき

 これまでに専門職ならではの閃きをしたことがあるなら、あなたの頭の中にあるアイデアや閃きのきっかけをシェアしてください。

 あなたの考えを変えたきっかけは患者、論文、PTや他職種の人など様々でしょう。おそらく、理学療法とは全く関係のない人との出会いが新たな道を開いてくれたのではないでしょうか。

3、外国語

 母国語であれば何か発言したい、より楽に話せるということもあるでしょうから、Indabaでは世界中からの参加者のために英語以外の言語での議論をサポートします。

 「この新たな取り組みには非常に期待しています。ぜひ参加者には様々なアイデアを出し合ってもらい、Indabaセッションに命を吹き込んでもらいたいと思います」とTracyはメッセージを述べています。


【使われていた英語表現】

・indaba
 アフリカの言葉で、何か重要なことを話し合う会議のことを指す

・‘kitchen table’ discussions
 

・‘points of view’ exchanges
 見る点の交換→異なる視点からの意見交換

・themed meeting
 特定のテーマを持った集まり

・delivering services
 訪問サービス

・Lightbulb moments
 

・pivotal
 とても重要な

・bring it to life
 生き生きしたのもにする、興味深いものにする
 *本文ではitはthis new format=indaba session


【あとがき】
新たな学会の形としてindabaセッションが設けられるようです。テーマはhttp://www.wcpt.org/wcpt2017/indaba-sessionsで見れます。インフォーマルで言葉の壁もなく、と説明されていますが、通訳を配置するんでしょうか? どこかに情報があれば、また共有いたします。

2017年5月6日土曜日

【WCPT News】 完全版 2017/5/3 <会長ブログ>残り2年の任期を前に

 2年前、シンガポールにおいて副会長にMargot Skinnerが、会長に私が選出されました。私たち二人は他の新役員とともに新たな旅立ちに出たのです。

 任期の4年の内、もう半分が過ぎてしまったとは信じられません。前役員の仕事を引き継ぎつつも、この2年間でWCPTは大きく変わりました。



外との繋がり

・初めて私たちは、WCPTの戦略的計画についての国際協議を終えました。世界のPTやPT組織が未だかつてない程、この計画に関わっています。

・私たちは、WHOとのつながりを強化するために計画的に仕事をしました。特にWHO「加齢と人生」とWCPTサブグループIPTOPの連携や、リハビリテーション2030に参加しているWHO「障害とリハビリテーション」とのつながりを強化しました。WHO「障害とリハビリテーション」は国際的なリハビリテーション共同体を作ることに賛同しています。

・私たちは、パートナーシップ構築計画を引き続き行います。すでに結んでいるパートナーシップの見直し・整理や、INPTRAやHandicap Internationalとの覚書を交わしました。

・WCPTの認定制度は、私たちが想像していたよりも早く形になってきています。世界中の教育機関に対して質的保証を行うことに大きな意味があります。

昨年5月、成都市と昆明市の理学療法課程に認定書を授与する際、Margot Skinnerが中国を訪問

内部の見直し

・WCPTはこの時代の国際機関の中では最も優れた運営をする団体を目指しています。そのため組織の構造や資金や経営に関して見直しを進めるとともに、現在進行中の内政の見直しも継続します。

・初めてWCPTは戦略的事業計画をすべて原価計算で行いました。

・新たなメンバーとしてJonathon Kruger (最高経営責任者)、Sidy Dieye (プロジェクトマネージャー), Héðinn JónssonとBirgit Mueller-Winkler (職能アドバイザー)、Deborah Williams (財務部長)、Atim Henshaw (業務支援係), Kiran Acharya (渉外担当)が加わりました。

・財務・会員・認定の3つの部門が新設されました。

・WCPT各支部長5人とWCPT役員が会合で集まった際に、各地の支部との連携や統制をいかに行うか話し合いがされました。各支部長は今後、WCPT役員会議に出席することになります。

・役員憲章や運営ガイドラインを作成し、新たな枠組みでの経営を行えるよう今月、役員会議で話し合い、承認されることを目指しています。

Xerri de Caro博士がEl-Adawi教授とSaab博士と会談、2016年9月

これからの展望

・SUDAプロジェクト(マリ、ニジェール、セネガルの職能団体および教育プログラムの発展を支援する活動)に、支援金を送りました。能力開発をサポートする外部基金を発掘していく計画の第1号となりました。

・メンバー組織からのリーダーシップに関する研究や事例を活用して、WCPTは次世代のリーダーを育成するグローバルリーダーシップアカデミー開催に着手しました。

2016年4月、北米・カリブ地区WCPT年次会合でStacy De Gale(中央)とMargot Skinnerとともに

 経営改革におけるソートリーダーのWilliam L McCombは「改革は点ではなく線だ」と言います。
 メンバー組織や各地のWCPT支部、サブグループなどのニーズに応えるため、私たちは常に進歩しようと努力しています。
 この2年は忙しくも実りのあるものでした。いつも最善の方法を取っているとは限りませんが、常に成長と発展を目指し、世界中のPTが繋がりを感じられる組織になれればと考えています。
 これからの2年、皆さまに刺激的な機会を提供できるよう努めてまいります。


【用語解説】

・WHOのプログラム・プロジェクト
 計画や企画、事業などをprogramと言ったりprojectと言ったりします。同義語のように使われることもありますが、国際協力の世界などでは区別されています。小さな、例えば地域を限定したような事業はprojectと言い、projectが集まってできたものがprogramとなります。WHOには多くのプログラムやプロジェクトがあります。Aging and Life-CourseやDisability and Rehabilitationはその例です。
(参考)

・WCPTサブグループ
 WCPTとは別の組織だが、一定の要件を満たした理学療法に関する国際的な団体。各団体が自らWCPTに申請を出し、サブグループとして登録してもらう方式。
 本文に出てきたIPTOPは「高齢者のための理学療法国際団体」のことです。
(参考)

・リハビリテーション2030
 リハビリテーションのニーズは世界中で高いが、低中所得国では十分なリハビリテーションが提供されていません。WHOのプロジェクト「Disability and Rehabilitation」ではこの需要と供給のミスマッチを是正するため、リハビリテーション2030というアクションプランを立てました。
 WHOは以前、Global Disability Action Plan 2014-2021というものを発表しましたが、持続可能な開発目標(SDGs)のゴール3に対応するより幅広い内容のプランが必要だ、ということで2030年までに達成したい目標を設定しました。
(参考)

・SUDAプロジェクト
 Handicap Internationalという団体とWCPTが2018年1月までの予定で行っているプロジェクト。対象国となっているマリ、セネガル、ニジェールは紛争地区で障害者が多く、リハビリテーション職種に求められるものを大きいと言われています。
(参考)

・グローバルリーダーシップアカデミー
 WCPTのStrategic Plan 2017-2021の中で何度かleadership academyを開校し、可能ならWCPTが提供する生涯学習教材としてMOOCs(Massive Open Online Courses、大規模公開オンラインコース)展開したい考えのようです。
(参考)

・ソートリーダー
 Thought leaderとは自分の哲学や考えを表明して、ある特定の分野でリーダーシップを取っていく人(もしくは組織)を言うのだそうです。単なるリーダーとは違い、時代を先取りし、人と人の間に議論を引き起こすような活動をする人を指すようです。


【使われていた英語表現】

・unprecedented
 前例のない

・consortium
 協会、共同体
 *tiumの所の発音はティアムよりもシアムが普通のようです。

・memoranda of understanding
 各書、基本合意書
 *memorandaはmemorandumの複数形です。

・accreditation
 認定

・contemporary
 同世代の、同時代に存在する

・charter
 憲章

・explicit
 明白な、腹蔵のない

・draw on
 (知識、経験、技術など)を活かす


【翻訳のウラ側】

・Transformation is an era, not an event.
 Transformationは直前に出てきたchangeと同義ですが、やや堅い表現になります。同じ単語の繰り返しを避けるために言い換えていると思われますので、「改革」とそのまま訳出しました。
 eraは時代、eventは出来事、ですが、これは時間的幅の比喩表現と読んで、それぞれを「線」と「点」というように訳出しました。後の文の、常に変わり続ける、という内容にも合っていると思います。
 (訳例)改革は点ではなく線である。

・We are a constant work in progress.
 初見ではこの文章の意味がよく分かりませんでした。workを「仕事」と捉えて「私たちは絶え間ない仕事」となり日本語としておかしかったので、英文の方の誤植か、と思ってしまいました。
 困ったときはtwitterで同じ表現を使っている人がいないか検索して、どういう文脈で使用しているのかを調べてみる方法を時々取ります。今回もa constant work in progressと検索ボックスに入力して、世界中のツイートを見てみました。すると比較的よく使用する表現のようで、ツイートを読んでいると、いつでも学ぶ姿勢がある、という意味のようです。
 文を分析すると最後のwork in progressが一塊で、「作っている最中の作品」という感じです。人に対して使われているので、「まだ未熟で学んでいる最中」という意味になると思います。それにconstantがついて「一生勉強」に近い意味になるのではないでしょうか。
 (訳例)私たちはこれからも学び続けていきます。


【あとがき】

 今回の会長の記事は、知らない内容が多く、関連のレポートなども読みながら訳しましたので、非常に時間がかかりました。解説も多く載せましたので、合わせてご覧ください。
 関連レポートを読んでいると、どこそこの分野の研究が足りていない、などの問題提起がされています。研究者の方は、自分がしたい研究より、求められている研究をしてほしいな、と思うときがあります。何が求められているかは、WHOなどのレポートを読むと分かることがあるんだと学びました。

2017年5月1日月曜日

Rocket Language

PCでのメイン画面
スペイン語の勉強の導入はロゼッタストーンでした。昨年、フランス語を始めるにあたり、ロゼッタストーンも良かったのですが、別の教材を試してみることにしました。それが、Rocket Languagesのフランス語コース「Rocket French」です。これは、New York Timesなどでも取り上げられた英語圏では有名は教材のようです。たまたま13周年記念か何かでセールをしていて194USドルで全レベルまとめ買いしました。

 公式ウェブページに書いている特徴は、

 1、スマホなどでいつでもどこでも、隙間時間に勉強できる
 2、文法も学習できる
 3、聞き取り、書き取り、ロールプレイ、クイズなどで脳へ定着させる
 4、自分の発音を録音し、ネイティブに近づく
 5、効率的な学習技術を採用
 6、講師や他の学習者などとのネットワーク
 7、楽しみながら、モチベーションを保つ

ということです。

 レベルは3つあり、各レベルにモジュールが8つずつ程あり、さらに各モジュールには8~15程のレッスンがあります。各レッスンには、PDFのテキストと、音声データがダウンロードできるようになっており、さらにオンラインでクイズ(聞き取り、書き取り)や自分の発音の録音などができます。

 基本的にフランス語を話せるイギリス人男性が話を進めながら、フランス語が母国語の女性がお手本の発音をしてくれます。つまり、英語でフランス語を勉強するスタイルです。

 私の使い方は、印刷したテキストを見ながら、学校で講義を聞いているかのように音声をiPodで聞いています。PDFテキストの余白にいろいろ書き込んだりしながら、自分流のテキストを作るような形でやっています。文化などのコラムも面白いです。

 ちなみにこのRocket Languagesにはフランス語の他に、スペイン語・イタリア語・ドイツ語・ヒンディー語・韓国語・中国語・ポルトガル語・ロシア語・日本語・アラビア語・アメリカ手話のコースがあります。今のところ、このRocket FrenchとNHKのラジオ「まいにちフランス語」とテレビ「テレビでフランス語」を通勤中や昼休み、お風呂の時間などにやっていますが、着実にいろいろ覚えてきていると感じます。もともとスペイン語をある程度習得しているので、フランス語の動詞の活用や、修飾方法、代名詞の位置など馴染みのある共通部分もあり、そのおかげで分かりやすい部分も多いです。

 あっと言う間にフランス語を始めて1年が経ちました。これからもフランス語の学習は続けていくつもりですが、実は今、中国語の勉強も始めました。ロゼッタストーンがキャンペーンで81%offだったからです。本当はもう一つ気になっている教材にRadio Lingua NetworkのCoffee Breakシリーズがあったのですが、ロゼッタストーンの強気セールの誘惑に負けました。(笑)

 みなさんの語学学習の教材選びの参考になれば幸いです。

(参考)
ロゼッタストーン
ロゼッタストーン:スペイン語レベル1終了

2017年4月29日土曜日

Sphere Handbook 2018年版発行に向けて改訂作業中

スフィアハンドブックは2000年に第1版、2004年に第2版、2011年に第3版が発行され、各版は日本語に翻訳され公開されてきました。

(参考)スフィアハンドブック第3版 日本語版

 そして今、第4版の2018年夏発行を目標に改訂作業が行われている最中で、その草案が先日公開されました。草案公開に合わせて、変更点などを共有しディスカッションするために、ウェビナー(web + seminar = webinar)が開催され、私もリアルタイムで参加しました。

(参考)ウェビナーの模様 Revising the Sphere Handbook: What is new and how you can contribute

 人道憲章(the Humanitarian Charter)や基本理念などの大きな枠組みは変更されませんが、「スフィアとは?(What is Sphere?)」の部分の内容が増強されます。

 そして、すでに発行されている他のガイドラインとの整合性を向上させるよう配慮されているようです。例えば「人道支援の必須基準(Core Humanitarian Standard)」はスフィアハンドブック第3版が発行された後の2014年に作成され、第4版ではその「9つのコミットメントと基本行動(9 Commitments and Key Actions)」はそのまま「コア基準(the Core Standards)」の章に受け継がれるようです。

 また、翻訳された時に、正しく理解してもらうため、分かりやすい言葉を使うように努めているようです。ちなみに日本語版の作成は第2版と第3版で別の団体が行っています。第4版は誰が翻訳するか分かりませんが、簡潔な英語で書いていただいていると翻訳者は助かりますね。

 各章の構成も新しくなっています。指標と目標値を別に記載し、特定の数値(specific numbers)を書かずに参考値(threshold)を記載するに留め、状況に応じて目標値を考えるようにされています。

 大枠の変更の他に、各章の改訂もされていますので、下記のページの後半にあるGet the draft standardsから確認してみてください。

(参考)改訂版草案1 http://www.sphereproject.org/handbook/revision-sphere-handbook/draft-ready-for-feedback/

 このウェビナーはAdobe Connectを使って行われました。参加人数や参加者の名前がサイドバーに表示され、プレゼンテーションを聞きながら、コメントのやり取りもできます。リアルタイムで質問して発表者が答えたり、後日返答したりすることができるシステムです。今回は参加者が110人前後を行ったり来たりしていました。参加者の名前を見ていると日本人らしき名前は私ともう一人いました。ちなみに発表者の一人は日本人だったのですよ。

 コメント欄には英語での書き込みの他、フランス語も使用されていました。数回アラビア語かな、という書き込みもありました。スペイン語では誰も発言していなかったと思います。こういう国際的な場での言語はやはり英語とフランス語なのかな、と感じました。

2017年4月23日日曜日

災害医学とリハビリテーション(DM&R)

物理医学におけるリハビリテーションは、私たちが日々臨床で行っている理学療法・作業療法という形で発展してきましたので、「物理医学とリハビリテーション(Physical Medicine and Rehabilitation, PM&R)」科という長い名前の診療科がアメリカにはあります。日本で言うリハビリテーション科は正しくはPM&R科なのですが、日本には物理医学がきちんと入ってこなかったのでPM&Rという言葉は馴染まなかったようです。

 今、WHOもマニュアルを作っていろいろ動きがあるホットな分野に、「災害医学におけるリハビリテーション」があります。世界中で様々な災害が起こり、各国の支援チームが緊急援助を行っています。発災初期からのリハビリテーションにまで対応できるチームの発足が必要と認識されてきており、WHOが緊急医療チームの認証制度を作っています。日本のJDRはリハビリテーションにまで対応できるチームとして認証されており、災害におけるノウハウの整理や研究が必要だと今後は思います。

(参考)・JDR(国際緊急援助隊)医療チーム 導入研修

 災害医学におけるリハビリテーションが発展し、ノウハウが蓄積されてくれば立派なリハビリテーションの一分野となると思います。その時は、私としてはリハビリテーションの歴史の流れに乗って「災害医学とリハビリテーション(Disaster Medicine and Rehabilitation, DM&R)」と名乗って欲しいな、と思っています。

 このDM&Rの発展のために研究会を立ち上げました。今後、様々な活動を行えるようにしていきたいと考えています。JDRやJRAT、災害医学に興味があるPT・OTなら登録して頂けます。登録希望の方は下記の登録フォームからお願いいたします。(停止中)

(参考)・災害医学とリハビリテーション研究会 新規登録フォーム

 様々な活動と書きましたが、実際はまだまだ模索段階です。現在はメーリングリストを利用した情報共有や意見交換が中心です。今後は、勉強会を行ったり、WHOのマニュアルを翻訳したり、メンバーの皆で記事を書き合ってウェブサイトを立ち上げたり、などを考えています。仲間が増えることを心から願っています。

2017年4月17日月曜日

国際リハビリテーション研究会キックオフミーティング(2017/4/16)に出席して

WCPT Photo Competition 2012
 「国際理学・作業療法学(案)」という記事を書いてから随分と時間が経ちました。少しずつその中身を作り上げて行こうという計画でしたが、実際はほとんど進んでいません。そのような折りに、国際リハビリテーション研究会キックオフミーティングが東京で開催されました。そこには協力隊同期が私の他に三名も参加しており、同窓会のようで楽しめました。この分野に熱い隊次なのだと再確認できました。

 このミーティング(主催者はセミナーではないと強調していました)では「国際リハビリテーション学」という学問を自立させるべく研究会を立ち上げ、過去の実績や経験・技術をまとめたり、積み上げたり、学術的に発展したりするためにはどうすれば良いかを考える会でした。

 国際看護学というのは国が定めるカリキュラムに組み込まれており、国家試験にも国際関係の問題が出題されているようです。「国際」と付くと海外での支援活動を想像するかもしれませんが、国際看護学という学問の狙いはそこではありません。「国際看護学を学ぶことでより良い看護を提供することができる。なぜなら看護の対象は『人間』であり、背景に様々な文化、風習、宗教、価値観を持っている。幅広い視点から対象者を見ることは国内外を問わず看護を行う上で重要である」ということだそうです。

 これは看護をリハビリテーションに置き換えて読んでも違和感はないと思います。この観点から「国際リハビリテーション学」を解剖していくと、
 宗教とリハビリテーション
 文化とリハビリテーション
 政治とリハビリテーション
 経済とリハビリテーション
 開発とリハビリテーション
 災害とリハビリテーション
などに細分されるのではないでしょうか。

 「国際」と言われてよく想像される青年海外協力隊は、もともと私たちが持っているリハビリテーションの知識・技術に、上記の宗教・文化・開発などの知識を組み合わせて活動しているものだと私は考えます。もし役所に配属されるなら政治を知らなければならないでしょうし、貧困削減が上位目標にあるなら経済・開発を知らなければなりません。

 災害に関しては、災害の種類によって、例えば、地震・津波・洪水・火災・干ばつ等にさらに細分化されるのかと思います。この辺りはまたJDRの研修などを通して考えていけたらと思います。

 このような事を私は想像していたのですが、今回のミーティングでは、国際協力を主軸に置いた考え方のようでした。協力隊などでの活動をいかに学問的に残すか、事例を蓄積していくかを重点課題としているようでした。国際協力だけを対象にするならば、「国際リハビリテーション学」という冠は仰々し過ぎると思います。実際は国際協力だけを取り扱うわけではないでしょうが、一日しかない今回のミーティングではそういう印象でした。

 同期とも話したのですが、「国際」も「リハビリテーション」も扱う範囲が広く漠然とした概念です。二つ合わせて新しい概念ができるかと言うとそうではなく、今ある知識や技術の寄せ集めになると思います。寄せ集めた中から、使えそうなものを選び出し関連付けていくという作業になるのではないでしょうか。

 そもそも理学療法も、解剖学・生理学・運動学などの元々ある学問を基礎に、病気を考慮して行ってきたものであり、すなわち寄せ集めです。AKA-Hも独自の発見はありますが基礎は、解剖学・運動学・関節生理学・組織学などの元々ある学問です。寄せ集めて体系化する作業は大きな苦労を伴うと思いますが、国際リハビリテーション学というものを普及させるには誰かが舵を取らないといけません。

 ミーティングでは、主催者は「外枠は作った。中身はまだない。これから皆で作り上げて行く」と述べていました。しかし、前述のように中身となり得るものはすでにたくさんあって、今まで外枠がなかっただけだと考えます。その外枠を慎重に作らないと今後、混乱するのではないかと思います。外枠の議論がまだまだ必要です。中身はその後でいいので慌てずに外枠作りをしないといけないと思います。

 リハビリテーションは単独では存在しません。理学療法も作業療法も「物理医学とリハビリテーション(PM&R)」という名の下で発展しました。言語聴覚療法は「耳鼻咽喉科とリハビリテーション」。このような流れに倣うと、「宗教とリハビリテーション」「開発とリハビリテーション」など、国際リハビリテーション学には先に述べたような様々な『とリハビリテーション(and rehabilitation、&R)』が出現しそうです。

 「宗教とリハビリテーション」という外枠があれば、そこに過去の宗教に関する経験を蓄積していくのです。イスラム教徒の患者に対して行った配慮、キリスト教徒の患者の対応での失敗談、土着宗教の例、などなど。

 DALYsやジニ係数などは「経済&R」、持続可能性や適切技術や就労支援などは「開発&R」、医療制度などの政策がらみは「政治&R」。計画立案やPDCAなどはリハビリテーションとは直接結び付かないので&Rからは切り離した方がよいのかな、と思います。

 この&R案はまだまだ改良の余地があると思います。受け入れてもらうにはもう少し洗練させないといけないでしょう。今年11月に第1回学術集会をやろうと企画しているようですので、そこで改訂版&R案を披露できたらいいかな、と考えています。いろいろな人の意見も取り入れて作っていこうと思います。ご意見ございましたら、是非コメントをお願いいたします。

2017年3月31日金曜日

【WCPT News】完全版 2017/3/30 WCPT段ボールを使った共同プロジェクトに支援

 技術は進歩し装具や補助具の大量生産ができるようになりましたが、既製のサイズだけでは個別のニーズに応えられないことが多いです。

 ニューヨークにあるAdaptive Design Associationは国際的なヘルスケア団体とチームを組み、不要になった段ボールを使った補助具の作成に取りかかりました。

 このプロジェクトのチームにはWCPT、グラスゴー・カレドニア大学、WCOTが入っています。世界中の障害を持つ子供や大人、機能低下のある人が自由に動けたり、自立した生活ができるようになるのが目標です。

 グラスゴー・カレドニア大学のTracey Howeは「私たちが大事だと考えていることがあります。それは一人として同じ人はいないと言うことです。ニーズもみな違います。置かれている環境もみな異なります。しかし、市販されているものはフリーサイズのことが多いです。」と述べています。

 理学療法士のHoweが最初にADAを知ったのは2016年にウインストン・チャーチル奨学制度でニューヨークにいた時でした。Alex Truesdellを中心に1998年からオーダーメイドの補助具を作ってきました。

 Adaptive Design Globalではデザイナーがあらゆる形やサイズのシーティング装置や脊柱サポーターなどを作ります。
 
 「このプロジェクトの素晴らしい点はオーダーメイドであるという事です。人が中心であり、チームで作られます。チームとは家族や教師、セラピストであり、何が実現可能か、何をしたいか、などを考えながら作製します。

 WCPTのEmma Stokes会長はこのプロジェクトを歓迎しています。「WCPTがこのプロジェクトに関わることができるのは非常に嬉しいです。この分野に理学療法士は多いに貢献できるでしょう。」と言っています。

 「プロジェクトは国際団体が掲げる使命や目的を果たすものです。この高度な新たな取り組み、未来を見据えた取り組みは世界中の関係職種に影響を与えるでしょう。」

 グラスゴー・カレドニア大学で理学療法学科を取りまとめているFiona Moffattはオーダーメイドの良さの例を挙げました。「例えば脳性麻痺の子供のために作られた車いす用のテーブルがありますが、既製品では上肢の緊張が高く、腕が外に飛び出してしまいます。そこで腕が納まるように横に窪みを作り、腕が落ちないようにしました。簡単な工夫です。しかし、これは市販のものではできない、オーダーメイドならでは事例です。」

 ADAは段ボールの補助具を作ることですでに大きな成功をしています。セラピストとデザイナーが作ってきた製品は毎日の使用にも10年以上耐えています。プラスチックやアルミニウム製に比べて、段ボール製の方がより快適でかつ涼しく、軽いです。またリサイクルもできます。

 「今や、どこを見ても段ボールがあります。みんな街で段ボールを見かけたら写真を撮って送ってきてくれます。」とHoweは言っています。

 今はまだ挑戦の途中です。今年の初めにADGは100万ドルの支援をMacArthur基金から得るために、他の2000のプロジェクトと競争しました。

 この戦いには敗れましたが、チームの野望が薄らぐことはありませんでした。補助具をオーダーメイドすることの秘めたる可能性を広く認識してもらうために、Howeは教育プログラムを改変し、世界中に広がるようにしようと考えています。

 「毎年、非常に多くのセラピストがオーダーメイド補助具の重要性に気がついてくれました。世界中に広まるまでには、まだまだ時間がかかるかもしれませんが、今までに10万人ほどのセラピストが新たに賛同してくれました。

 私たちは、各大陸にスペシャリストを置いたハブを作りたいと思っています。たとえ小さな村であっても、段ボール補助具を作ることは可能でしょう。しかし、どんなに優れた職人がいても、段ボールを使って補助具を作製するという発想はないでしょう。」と彼女は話しました。


【使われていた英語表現】

・back 
(動詞)支援する、支持する

・cardboard 
段ボール

・adaptive 
適応性のある

・one-size-fits-all
フリーサイズ

・overlook
見落とす

・identical 
同一の、全く同じ

・under the leadership of
~の指揮のもとで

・cascade down to
~に段階的に伝わる、流れる

・offer an example
例を挙げる

・tray
車イス用のテーブル

・gutter 

・custom-made
オーダーメイドの
※order-madeとするのは誤り。

・in contrast to 
~と比べて

・one of scale 
いくつかの段階の内の1つ

・compete with ~ for ~ 
~を得るために~と競う

・bid
企て、努力

・undimmed
dimmed(薄らぐ)に否定のunが付いている

・provision 
用意、食糧

・thousands of
何千の、(概数的に)非常に多くの

・awareness 
気付くこと
※英英辞典にはknowing that sth exists and is important、つまり「大切だと気付くこと」


【リンク】

・原文
http://www.wcpt.org/news/adaptivedesign

・Adaptive Design Assosiation
http://www.adaptivedesign.org/


【あとがき】

 久しぶりのニュース更新でした。段ボールを使った補助具の作製についてでした。段ボールと言えば思い出すのが、熊本地震のときに避難所で使われていた段ボールベッドです。非常に軽く、しかし十分な耐久性があり大活躍でした。
 ADAのウェブサイトで見られる動画や写真には、段ボールで作った椅子や階段などの実例が写っています。一度ご覧になるとイメージが湧くと思います。
 各種研修コースも開催しているようです。ニューヨークに来いと書いていますが、日本に来てくれないでしょうかね? 招致しましょうか?

2017年3月19日日曜日

WCPTから翻訳の許可

絶版ですが中古で手に入ります
昨年から取り組んでいるWCPT Newsの翻訳配信ですが、先日、WCPTから正式に許可を頂きました。1月は1件、2月は0件とニュースの配信が今年に入ってから少ないですが、今後も有益な情報を発信し続けていきたいと思います。

 以前、翻訳の勉強を始めるにあたり購入した本の紹介をしましたが、その後もいろいろな本を読んで勉強しています。最近よく読んでいるのが、別宮貞徳氏の本です。別宮氏は翻訳に必要な能力について「1英語の能力ではなく日本語の表現能力がより重要であり、2専門の学問の能力とは関係ない」と言うことを述べています。経済学者が翻訳した経済学の本がおおよそ読解不可能であることを例に挙げていますが、理学療法に関する翻訳本においても同様のことが言えるのではないでしょうか?

 例えばKendallのMMTの教科書に

「伏臥位を取り、どちら側でも快適な方に頭を向ける」

と書いてあるのですが、英語でheadと書いてあったのでしょうが、日本語では「顔を向ける」とすべきです。また

「この種の患者には他のテストも行ってみるよう検査者に注意を促す手がかりを与える」

も何を言っているのかすんなり理解はできません。「検査に協力的ではない患者には別の方法を用いなければならない」と言うと分かりやすいのではないでしょうか?

 Neumannの『筋骨格系のキネシオロジー』では

「神経系は、長時間安定した姿勢を維持させる働きを持つ筋線維を賦活することや、反対に必要に応じてより推進的な運動のために、短時間に大きな力を発生させることができる」

という難解な日本語が登場します。「反対に」とありますが、何と何を対比しているのでしょうか? これは姿勢維持に必要な小さな力と、動作を行う時などに必要な大きな力とを対比している文章ですが、こういった読解を読者にさせるというのは、翻訳の悪い例であると別宮氏は述べています。

 私自身、文章を書くのは好きな方で、このブログでは180ほどの記事を掲載しています。しかし、今までは単に書いているだけで、「日本語として美しいか」「読者にとって分かりやすい文章か」というところには無頓着でした。多少難解であっても、情報が正しいか、他では得られにくい情報か、という点を大切にしてきました。今回、WCPTの翻訳を正式に許可して頂いて、翻訳について学びを深めていく中で、日本語能力の重要性に気付かされました。今後は様々な、素晴らしいと言われている文章に数多く触れていきたいと思っています。

 子供のころは読書は好きではなかったのですが、30歳台になって読書に目覚めるとは思いもしませんでした。丸谷才一氏の『文章読本』では多くの「名文」が紹介され、文章を書くにあたっての心構えなども学べそうなので、手に入れてみようと思っています。

2017年1月18日水曜日

【WCPT News】完全版 2017/1/18 ケープタウン大会では他では得られない様々な学習機会を用意

WCPTケープタウン大会には13の特別コースが用意されており、学術プログラムの補完を、その道の専門家から直接から受けることができます。

7月1日と5日に開催されるそれらのコースは希望者制で大会に一日でも参加する人であれば誰でも申し込むことができます。参加費は安く抑えられており、オンラインでスケジュールが確認できるようになっています。

コースの詳細にはそれぞれのトピックスが示されており、運動学や人間工学、小児学、ウイメンズヘルスなどがあり、学習形式も様々です。同じ志を持つ参加者との出合いの機会となるでしょう。

7月1日(土)は、オーストラリアのキャサリン・グレンジャーと、デンマークのモーテン・キストが運動と肺癌についてコースを開催します。また同じ日に、高齢者に対する運動について、方法や年齢に応じた運動強度などについて深く考えるコースも開催されます。

大会の後に行われるコースの一つに、アメリカのジョセフ・デイとデニス・フェルにより共同実践についての入門コースがあります。この二人は低所得国における医療とリハビリテーションの専門職間の繋がりの発展を目指しています。

一方、リーダーシップ・アドボカシーに関するコースでは、専門性を高めるためのポテンシャルを発展させたいと考えている教育者や臨床家をサポートします。

13コース全てで、臨床家、研究者、教育者など様々な分野の人が、また若い人からキャリアの長い人までが実用的な知識を、最新の知見から得られるようになっています。


【用語】

・アドボカシ―
 自己の権利を主張することが難しい高齢者や障害者などに代わって、別のものが権利を主張すること。

・共同実践のコース
 低所得国において他職種共同で現地のニーズを満たすプランを考えるコース。

・低所得国
 OECDの開発援助委員会(DAC)による分類には、LDC(least development countries、後発開発途上国)、LIC(low income countries、低所得国)、LMIC(low and middle income countries、低中所得国)、UMIC(upper middle income countris、高中所得国)、HIC(high income countries、高所得国)がある。


【使われていた英語表現】
・in-depth
 詳細な、綿密な

・low-income countries
 低所得国

・applied knowledge
 応用的な/実用的な知識


【あとがき】
今年初めてのWCPTニュースです。また次の学会の案内になります。コースのほとんどは1日コースで、参加費は210~280米ドルです。学会にも出て、学会前と後のコースにも出ると、かなりの出費になりますね。国際学会は言葉の面だけでなく、お金の面でもハードルが高いですね。

2017年1月15日日曜日

【WCPT Policy Statement】Disaster Management

12月に入ってからWCPT Newsが更新されませんね。今日はWCPT Policy Statement: Disaster Managementをお届けします。

【災害マネージメントに関するWCPT方針】

災害には様々な種類(自然災害や環境変化、技術進歩がもたらす災害など)があり、人々や国に与える影響は甚大で長期的なものになるという認識をWCPTはしている。

理学療法士が災害時に専門性を生かした貢献ができるよう平時からの備えとマネージメント戦略を練っておくようにWCPTは各国のメンバー組織に推奨する。

・理学療法士は国や地域が災害時の対策を考えるにあたり協力すべきである

・理学療法士は発災前・後・復興期における障害予防に関する教育や施策について協力すべきである

・理学療法士は被災者にリハビリテーションを含む介入や治療の提供をすべきである

・理学療法士は被災した全ての人が理学療法を受けることができ、健康面・機能面を最大限に高めることができるようにするべきである

WCPTは次のことを推奨する。

・メンバー組織は政府機関、非政府機関、援助機関などと協力し、災害予防策や災害対策準備、災害時活動戦略、コーディネート計画を行うこと

・メンバー組織は災害時、支援を申し出る個人会員と協力し、情報の共有などの手助けをすること

・メンバー組織は卒後教育に災害マネージメントに関する内容をカリキュラムに入れること。

【原文】
http://www.wcpt.org/policy/ps-disaster-management

【用語】

・災害コンティニュアム
 本文中には出てこないが、Disaster continuumという言葉があります。災害予防(prevention)、準備(preparedness)、災害時対応(response)、復興(recovery)の変化のある一連の流れを指します。WCPTは準備・対応・復興に理学療法士が関わっていけると報告書にまとめています。

・準備(preparedness)
 平時からの備えは非常に重要です。どのような備えをすべきか、災害が起こったら自分は何をしなければならないか。理学療法士という以前に、一個人として考えておく必要があります。
 また理学療法士として災害時にできることが、平時に自分ができることを超えることはありません。災害時に多い疾患はWCPTのレポートから引用すると、
・脊髄損傷、
・外傷性脳損傷、
・骨折、
・末梢神経損傷、
・熱傷、
・切断
であり、求められるPT技術は
・呼吸理学療法、
・スプリント(副子固定法)、
・車椅子処方、
・心理的ファーストエイド、
・障害インクルージョン(障害のある人もない人も同じ権利を持ったり、同じ活動を行ったりすること)
です。これらの事を普段の仕事でしていなければ、災害時にできる事ももちろんありません。
 JDRの導入研修でも「普段の仕事をきちんとやる、普段から様々なことにアンテナを張る」ことの重要性を再確認しました。

【使われていた英語】

・be involved
 (議論・活動などにいい意味で)参加する、関わる、携わる

・those affected by disasters
 被災者

・populations affected
 被災者全員

・curricula
 カリキュラム(curriculumの複数形)